もはや疑問の問いかけではなく、確信からの答え合わせ。
ソルトも百夜も「そうだ」という択一の答えを求めて魔王に詰め寄っているのだ。
そしてそんな二人の確信に今更「否」の答えがある筈もなく。
「軽々しくその名を呼ぶな。本来『夜』が付く名は隠し名で本人と限られた者しか知ることのできない物だ」
「そ、そうなのか?あっ、じゃあ……百夜って名前も?だから時雨はお前の事違う呼び方してたって事か?」
「まあ、そうだね。僕の通り名は基本【水月】だ。隠し名っていうのは真名でもあって魔物の位の高さでもある。そして名前というのは個人を縛る一番の呪いで弱点とも言えるからね」
「……なるほど、それで百夜も彼女が夜音と同一人物だと知らなかったわけか」
「だから、その名を呼ぶな」
「っ……すみません」
「まあ、でも、まさにその通りだ。こいつに妹の話は散々聞いてはいたけど会ったこともなかったし。どんな罪で投獄されたかまでは興味なかったし。なんなら、妹の話題が始まったら殆ど聞き流してその場を凌いでたからねえ」
「お前、ぶっ殺すぞ?」
「だって本当に妹の話になると諄いし長いんだもんお前」
「あいつの可愛さは何時間あっても語りつくせないんだよっ」
「しっかし……まあ……どうにも厄介に繋がってたもんだねえ」
各々色々と物申したいことはある。
それでも結論を一言にまとめてしまえば百夜の放った今の一言に収まってしまうだろう。



