それに百夜としては二人の惚気を聞くことより優先的な疑問があるのだ。
そうしてどうにか静かになった空間になじみの煙管の匂いと煙を漂わせながら、見据える先は未だ床で蹲っている魔王の姿。
「お前、本当に何の用でここに来た?僕じゃなくリッカが目的だという話も気にかかるし、六花に対する態度も腑に落ちん」
「……正直お前もぶっ殺したい枠に入ってるぞ」
「ほうほう、それはそれは、やりたければやるがいいぞ?お前の唯一気心知れた悪友を滅する事ができるならな」
「殺そうとして素直に死ぬ奴じゃないだろうお前は」
「さあて、生きることに飽き飽きともしておればあっさり死ぬこともあろうて」
「……はあ、相も変わらず。……まあ、変わってなくて安心したと解釈しとくさ」
「そうかえ?フッ、じゃあお前の私情のオチもついたところでそろそろ僕の質問に答えてもらおうか」
勝手知ったる間柄。
色々皮肉は飛び交うが結局は気が合う仲のパロメーターであるのだ。
にっこりと微笑むことで再度疑問の答えを促す百夜の姿に、魔王も小さなため息を吐きながらようやくその身ををのそりと立ち上げて。
もっさりとした黒髪の頭をぼりぼりとひと掻き。



