当然に怒りを買うものだとばかり思いこんでいたのに。
どうにも目の前の魔王の様子から六花の無礼に対する憤りのようなものは見受けられない。
それどころ六花の発した言葉の刃がものの見事にクリーンヒットしたらしき潰れよう。
魔王からしてみれば六花など生まれて間もない小娘どころか赤ん坊に近い生き物だろうに。
あっ?逆に赤ん坊に近いから大人げなく怒れないとか?
そんな疑問をソルトが抱いていれば、どうやら魔王のこんな態度は旧知の中である百夜からしても新鮮なものだったらしく。
「随分と情けない様を晒しているじゃないか魔王ともあろう男が。こんな小娘にここまでコケにされてそれに馬鹿正直に落ちるなんてらしくない」
「小娘言うなっ!」
「こらっ、お前はもう黙ってろ!」
「言葉のあやだ、あ・や。何百年…下手したら何千年も生きられる魔物からすれば生まれて十数年しか生きてないお嬢ちゃんのお前は赤ん坊も同然よ」
「むぅぅぅ、こんなに育った体なのに」
「中身は幼稚園児並みだけどな」
「ソルトまで酷いっ!僕彼女だよっ!?」
「事実を言ったまでだろ」
「はいはいはい、ストップ。もう惚気たっぷりの痴話げんかはお腹いっぱいな上に胸やけの消化不良なんだよおじさんは」
ストップをかけねばきっと再びの恋人空間に巻き込まれる。
そんなのはもうごめんだと手を大きく叩いて阻んだのは当然百夜。



