途端に賑やかで愉快な口論となってしまうのはこの二人のお約束。
そして内容もまた実にくだらない。
なんならどんな惚気で痴話喧嘩なんだ?と、百夜も頬杖をつきながら呆れ半分に眺めていた最中。
六花の不満にとうとうプチッときたらしいソルトが、怒号を響かせたかと思うとおもむろに噛み付くようなキスをぶちかましたのだ。
逃げられぬようにソルトの腕は六花の頭をがっちりホールドし。
僅かな呼吸も許さぬと言わんばかりに密着している唇と、その内側では六花の口内を巧みに荒らし尽くしているソルトの舌と。
どんなに六花が挑み返してみようとまだまだソルトの経験値に及ぶはずもなく。
そんな濃厚濃密な口づけを休息の余裕もなく続けられてしまえば勝敗は目に見えてくるもので。
唇が離れたのと六花の腰が砕けたのはほぼ同時のタイミング。
床に崩れ落ちた六花とは違いソルトの方は実にケロッとした表情で「よっし、これで静かになった」なんて、一仕事終えたような口ぶりでくちの端から溢れた唾液を拭っているのだ。
そして、挙げ句の果てに、くにゃんと床で潰れている六花をげしげしと足蹴にしながら。
「おらっ、満足か?」
「…………ま…満足しゅぎて…昇天しちゃう〜」
「おうおう、そんな変態発言が出るとこみると通常運転で元気って事だな」
「とろんとろんのぎゅんぎゅんで妊娠しちゃいそぉぉぉ。今絶対孕んだぁ!これ孕んだぁ!」
「はいはい、めでてぇ、めでてぇ。後で赤飯でも炊いてやるよ」
「あのさぁ、本当さっきから僕は一体何を見させられてるんだろうねえ」
唐突の痴話喧嘩から今のよくわからん濃厚キスシーンまで。
一応傍観者に徹してきた百夜であったが、終わりの見えないアホなやり取りに流石にぼちぼち突っ込んでおこうかと呆れた声を響かせたのである。



