他にも細々拾いあげたい付箋はあるものの、優先事項はただ一つ。
目の前で死んだ様に眠る六花の事。
ソルトが目覚めるまでも時は無情にも進んでおり、24時間あったタイムリミットも残すところ数時間しかないというところまできている。
それを証明する様に、刻一刻と六花の身体は消滅に向かって散りかけ薄れていっているのだ。
そんな六花の頬を指先でひと撫でするソルトの後ろ姿には哀愁のようなモノを感じたと思うのに。
「……こいつ、一発殴っとくか」
そんな予想外な一言には百夜でさえ「はっ」と間の抜けた声を漏らしてしまった程。
それでも、本気でソルトが己の拳をパシンッと叩き鳴らした事でようやくツッコミ役としての意識が回帰して、
「いやいやいや、リッくんよ。仮にも君恋人でしょうよ?意識のない、なんなら死にかけてる幼気な少女にグーパンかまそうとかどうなのかな?」
「いやもう、この寝顔見てるとムカッ腹が立って仕方ねえんだよ。なにこいつ勝手に死にかけてるの?消えかけてるの?なに俺が死んだからって後追いしようとしてんの?」
「いや、それこそ愛故ってやつなんじゃ?存在意味無くすくらいリッくん一色って男冥利に尽きるって話じゃ…」
「ふっざけんなっ!!」
「うーん…、難しい男心だねえリッくん」
決して百夜に向けた悪態ではない。
それは百夜も理解しているから苦笑を漏らす以外にない。



