それに気が付いた優ちゃんは袖で涙をぬぐい、私と向き合う。
「人生なんて、いつ終わるかわからないんだから、自分の好きなことをしよう?
そりゃあ、人としてやるべきことは最低限やらなきゃいけないけど。
叶えることがどれだけ難しい夢でも、世間の人から見て恥ずかしいと思われる夢でも、自信を持って堂々と追いかけていこうよ」
優ちゃんの言う通りだ。
私は今まで、優ちゃんの名前を使って嘘をついてきたのかもしれない。
優ちゃんの代わりに夢を叶えると言っておけば、それが私の書き続ける理由になっていた。
私にとって〝しなければならないこと〟になっておけば……自分の夢でなければ、あきらめることもないだろうと、私は私の気持ちに蓋をして見ていないふりをしていたんだ。
「うん……うん、ごめん。私、小説家になりたい。私の夢は、小説家だから。優ちゃんの代わりじゃない。私だけの夢だから」



