ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

でもここで断ると、私が三神くんを嫌っているみたいだし、そもそも和香ちゃんの言っていることは正しい。


篠宮くんが馬鹿なわけではないけれど、クラスの委員長として務めを果たすのは当然だ。


ちらりと横を見遣ると、既に席についていた三神くんと目が合って、ぼっと頬に朱が散った。


心臓が、うるさい。


そう思った瞬間、私の視界にぬっと影が落ちた。


「出発できん。はよ座れ」


影──もとい志谷先生は、私を三神くんの隣の席に押し込む代わりに、篠宮くんを和香ちゃんの隣に突っ込み、私を顎で促した。


そうなるともう、私に退路はないわけで。


「お、お邪魔します……?」


「どーぞ」


ちょこんと腰を下ろせば、三神くんの熱が肩に触れる。


それがくすぐったいような、心地良いような、恥ずかしいような。


でも、逃げ出したいとは思わない。


「すみません、お願いします」


志谷先生が運転手さんに声を掛けて、バスが動き出す。


緩やかに揺られながら、私は自分の右側だけが熱くなるのを感じていた。