ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「仁はこっち」


そう言って自分の席の横をポンポンと叩く。


行きは私が座っていた席だ。


篠宮くんは通路で立ち止まって、こてんと首を傾げた。


「俺が和香の隣座ったら、いいんちょーどこ座んの?」


別に座る席くらいどこでもいいけれど、何か気に障るようなことでもしてしまったのだろうか。


それなら謝りたいし、そうでないなら理由が知りたい。


戸惑っていると、和香ちゃんと目が合ってパチンとウィンクをされ、私は余計に目を瞬かせた。


どういうウィンクなんだろう、と考えあぐねる私に、和香ちゃんはわくわくしたように口を開いた。


「未琴は三神の隣に座ればいいじゃん」


「……へ?」


「三神バス酔いするんでしょ?バカよりいいんちょー隣の方がどう考えても適任じゃん」


和香ちゃんはそう言うけれど、私を三神くんの隣に座らせようとしているのは明白で。


そういえば、良きに計らわせてあげるよとかなんとか言ってはいなかったか。


「まさかの荒療治……」


ぽつりと呟けば、和香ちゃんのによによとした視線がこちらに向けられる。