ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「海とかでしか使えないって」


「確かに。私、海行ったことないから余計に使わないかもしれません」


「私も海はあんまり……あー、これが景品だって知ってたら、こんなに濡れるまでやらなかったのになぁ」


「でもかっこよかったですよ」


「本当?」


「うん。1人であんなに勝ち進むなんて凄い」


「まぁ未琴がそう言ってくれるなら……」


余韻に浸るように、私たちはゆっくり影を踏んで進む。


微かに橙に染まった空は、前を歩く三神くんのところまで、私の分身を長く伸ばしていた。


体には、ほんのり疲労感が巡っている。


それが心地よいと思うくらいには、忘れられない思い出になるのだろう。


バスの中で必死に宥めた諍いも、上手く話せなかったもどかしさも、篠宮くんのために奔走したことも、高鳴る胸も、こうして踏み出す度に感じる寂しさも、全部ぜんぶ。


「……楽しかったな」


小さく呟けば、3人も口元に笑みを浮かべている。