ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

三神くんは、何も言わない私を不思議そうに見遣って、「おい聞いてんのか」と顔を覗き込もうとする。


「ち、近づかないでください」


「は?」


中途半端に腰を上げた状態で、三神くんは眉をひそめた。


私はその顔の前で手のバリアを作り、顔を隠すように俯く。


「私、今、三神くんが近くにいると、心臓がおかしくなる病気なんです」


「……」


だって、こんなの知らない。


篠宮くんも、他のクラスメイトの男子にだって、こんなに胸が締め付けられることなんてなかった。


三神くんだけが、私の心の中にいる。


私の心を、揺さぶる。


遠くから、クラスメイトたちのはしゃいだ声が聞こえていた。


私と三神くんの間にだけ、静かな空気が流れている。


その静寂を破ったのは、三神くんの笑い声だった。


突き出した指の隙間から見えた三神くんは、涙を滲ませる勢いでくつくつ笑う。