ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

怖いとか、恐ろしいとか、そういう感情に敏感なのは、どちらかというと篠宮くんの方だと思っていた。


篠宮くんは「嫌だ怖い無理」と嘆いて、和香ちゃんに「情けない」と喝を入れられるまでがテンプレートだ。


その印象が強いからか、三神くんと気弱な言葉はあまり結びつかない。


むしろ思い出すのは、孤高の瞳。


最近こそ私や幼馴染'sと過ごすことが多くなって、随分丸くなったなと感じるけれど、初めて三神くんを見た時──三神くんがまだ教室の後ろでひとり過ごしていた頃は、まるで澄み切った刀のような鋭い瞳を、いつも何かに向けていた。


心の奥底まで痺れるような。


触れればもう二度と戻れなくなってしまうような。


そもそも学校に来ているのかもよく分からないくらい、たまにしか見かけなかったけれど、遠くから見るその瞳は畏怖さえも感じさせた。


だからこそ些細なギャップが意外で、三神くんの人間くささを覗き見た気分になる。