ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「それで?買い物行って?」


「……買い物行って、バーベキューだし肉メインだし、先に野菜じゃなくて肉買おってなって」


促されてぽつりぽつりと語る篠宮くんは、罪悪感からか、だんだんと声が小さくなっていく。


「黒毛和牛は無理って言われたから、少しでもいい肉食いたくて、そしたら肉屋のお姉さんが試食でコロッケくれて、それが旨くて会計終わったら野菜と皿とソースのことすっかり忘れてて……まじですみませんでした……」


指の隙間から漏れた謝罪は、もう蚊の鳴くような声だった。


たぶん本当に今日の遠足が楽しみで、今の今まで忘れたことに気がついていなかったんだろう。


篠宮くんの言葉のひとつひとつに申し訳なさが滲んでいて、私はなんだか切なくなってしまった。


悪気があったわけではないんだろうし、きちんと反省の色も見える。


むしろあんなに楽しみにしていた篠宮くんが一番残念そうだ。


だから私は怒ったりしていないのだけれど……。


そう思っていたら、和香ちゃんがひとつ息を吐いて、分かった、と頷いた。