ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

かまどの薪が、ぱちぱちと爆ぜていた。


私たちの班を無言が包む。


誰も何を言っていいのか分からなくて、黙りこくった末に篠宮くんの乾いた笑い声が寂しく響いた。


「バーベキューソースと皿類もない。肉しかない」


和香ちゃんはついでのように言うけれど、全然ついでの内容ではなくて、いっそう空気が重く沈む。


私は冷や汗をかきまくる篠宮くんをそっと窺った。


買い出しは私たち女子が行く予定だったのを、篠宮くんが男子でやると申し出て、昨日行ったはずだ。


「……ちげぇんだって」


篠宮くんは体の前に開いた右手を突き出す。


その汗の量が尋常じゃなくて、私までじっとりと汗が滲んだ。


「まぁね。違うくなくてもみんなそう言うよね。常套句だし」


和香ちゃんはあくまでも落ち着いた声色で相槌を打った。


けれど、反論を許さない断固とした態度だ。


三神くんはいまいち事の重大さを理解していないのか、面倒そうに机にもたれかかっている。


篠宮くんは言葉にならない唸り声を上げて、それから両手で顔を擦るように覆った。


「買い物には行ったんだよ、ちゃんと。帆貴は来なかったけど」


ぴくり。


三神くんの指の先が跳ねる。


私と和香ちゃんの視線が集中して、三神くんは気まずそうに目を逸らした。


「俺は行けねぇって電話したの、お前返事しただろ」


「……そこ端折ったら駄目でしょ」


和香ちゃんに睨めつけられて、篠宮くんが反射ではい、と返事する。


まるで飼い主と犬だ。