ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)




バーベキュー会場に着くと、他の班はもう既に火を起こして準備を始めていた。


案の定、私たちを待っていた志谷先生はキレ気味で、言葉には出さずとも纏う空気が痛い。


着火剤を貰いに行く時、『お前も苦労するな』と同情されたので、遅刻の原因の半分は自分にあると口が裂けても言えなかった。


代わりに曖昧に笑って、ごめんなさいと代表して謝っておいた。


何でもかんでも謝罪すんな、と邪険にされてしまったけれど。


そんなこんなで、結局開始から遅れること15分。


ようやく私たちのバーベキューが始まった。


私と和香ちゃんは野菜を切る係。


篠宮くんと三神くんが火を起こして肉と野菜を焼く係だ。


私は髪を結い、貸出の包丁とまな板を机の上にセットしながら、横で手際良く準備を進める和香ちゃんに話し掛ける。


「手慣れてるね」


「そう?」


和香ちゃんは迷うことなくかまど係に指示を出し、同時並行でお肉の下処理をしていた。


おかげでかまどの火は他の班より幾分か火力が強い。


「まぁ、小さい頃から毎年夏は家族とバーベキューしてるからね。まだ弟たちは小さいから危ないし、お姉ちゃんは始まると直ぐにお酒呑むし、必然的に私が色々やることになるんだ」


パックからお肉を取り出していく和香ちゃんは、照れたような笑みを浮かべる。