ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

明らかに不機嫌な三神くんがぬっと現れて、私はその場でマンガみたいに飛び上がった。


いつも唐突すぎて、色んな意味で心臓が口からまろびでてしまいそうだ。


「帆貴またなんかしちゃったの?」


篠宮くんが眉を下げる。


「んなわけないでしょ。俺がいいんちょーに置いてかれただけだっつの」


苦々しく言う三神くんは、物言いたげな目で私を見遣る。


その視線が痛い。


私は三神くんからつい、と視線を逸らして、情けない笑顔を浮かべた。


それから和香ちゃんに無言で助けを求める。


和香ちゃんは任せなさい、と言わんばかりに頷いて、


「まぁまぁ落ち着きなって」


「落ち着くのはそこのすげぇ目逸らしてるやつだろ」


「はいはいうるさいうるさい。せっかく来たんだから肉を焼け。そして食らえ。ついでに私の皿に盛り付けろ」


パンパンと叩いた手を合図に、三神くんは渋々口を噤む。


荷物を背負い直した三神くんは、なんとか私のことを諦めてくれたみたいだ。


私は助かった、と小さく息を吐いて、移動を始める和香ちゃんに手を合わせる。


和香ちゃんはどうってことない、と言うように軽く手を振ると、安心する笑顔で笑いかけてくれた。


本当に頼りになる姉御肌だ。