ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)




「あれ、いいんちょー早いね。帆貴はどしたん?」


「三神とはぐれた?」


「えぇと……」


上がった息のまま篠宮くんと和香ちゃんに合流した私は、案の定2人に三神くんの行方を問われてしまった。


風で跳ねた前髪を手ぐしで治しながら、私はもごもご言い淀む。


三神くんが急に触ってきたのでびっくりして置いて来ました、と正直に言えば語弊があるだろうし、かといって気の利いた嘘も思いつかない。


考えた末に、私は苦し紛れの事実を絞り出した。


「その、方向性の違いで別々に……」


「「バンドかよ」」


和香ちゃんと篠宮くんに同時に突っ込まれた私は、両手で顔を覆う。


ごめんなさい、三神くん。


私には上手く説明できませんでした。


私が和香ちゃんみたいに人とフランクに接することができる人だったら、きっとさっきみたいなことは起こらなくて、説明に困ることになんてならなかったんだろうな。


びっくりしたと笑って、そこで終わっていた。


本当に困った性格だ。


「あんたたち本当に仲がいいのか悪いのか分かんないね」


「くっついたり離れたり忙しそう」


他人事のように口々に言う2人は、自分たちのことを棚に上げていることに気がついていない。


喧嘩ばかりするくせにニコイチなのは、2人の方なのに。


私が苦笑すると、2人は不思議そうな顔をしていた。


どうやら気付くのはまだまだ先みたいだ。