ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

距離を詰められて、行き場がなくて、足を引けば壁に背中が当たった。


──ドンッ


ふわり、と清潔そうな石鹸の香りが鼻腔をくすぐった。


三神くんの深いヘーゼルの瞳の中に、私の姿が閉じ込められている。


横に突かれた手は、まるで私を世界から切り離してしまったみたいだ。


息が触れそう。


三神くんの熱に、私は小さく息を吞む。


「俺に騙されたって言えばいいよ、いいんちょー」


耳元で低く囁かれた声が、ぞくぞくと背中を駆け上がった。


心臓が煩いくらいに鳴る。


空に残った僅かな茜が照らす三神くんが、いつもと少し違う雰囲気を纏っている気がして、私は慌てて目を逸らす。


けれど三神くんは私をさらに追い詰めるように、更に顔を近づけた。


──キスされる。