ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「これなに?」


三神くんは机の上のプリントを摘む。


先程志谷先生に預けられたペナルティだ。


大量のプリントを3枚ずつステープラーで綴じて、冊子を2クラス分作らなければいけない。


結構重労働だけれど、こちらに非があるのは明らかなので、甘んじて受け入れようと思う。


ちなみに三神くんは昼休みに“志谷先生のお手伝い”として、数学準備室の片付けを済ませている。


掃除場所に組み込まれていないところだから、かなり消耗したみたいだ。


「志谷先生に頼まれたやつ。今日作って出さなきゃいけないの」


三神くんはふーん、と興味がなさそうな相槌を打つ。


「なぁ、飯食いに行こ」


続けられた言葉に、私は眉を顰めた。


「……話聞いてました?」


「聞いてたけど」


「私、これやらなきゃ」


「志谷の雑用なんかほっといて行こ」


いやいや。


それはさすがに横暴すぎでしょう。


「これペナルティだから。というか、なんで私?」


ご飯くらい、いつもひとりで食べてるのに。


それに今日、ちゃんとお昼ご飯は食べたはずだ。


夕飯にしては早すぎるし、お腹がいっぱいになってしまう。


三神くんはだんまり。


でも少しだけ苦い顔が垣間見えた。


もしかして、歩み寄ろうとしてくれているんだろうか。


「これ、あと少しで終わるから。それからでもいい?」


仕方がない、というように言えば、三神くんはん、と短く返事をする。


何をするでもなくぼんやりと私を待つ三神くんに、私は少しずつ心が解けていくのを感じていた。