ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

意地でも認めたくなくて、私は席から立ち上がる。


「避けてませんっ!」


「避けてた!」


「避けてないっ!」


「避けて」


「おい」


冷たい声が、応酬を遮る。


「お前らさぁ、痴話喧嘩は外でやれよ」


とてつもない冷気に、私はゆっくりと首を捻る。


もしかしたらグギギギギ、と鳴っていたかもしれない。


「俺、サボんのは勝手だっつったけど、授業私物化しろとは言ってねぇよな」


志谷先生は凍りつくような薄い笑みを顔に貼り付けて、私と三神くんを眺めていた。


「まぁ座れよ、授業クラッシャーズ。口論はさぞ疲れただろうから、しばらくお休みになられるといいですよ」


志谷先生の格別のスマイルを最後に、私はがっくりと頭を垂れた。


顔から火が出るほど恥ずかしくて、まるで顔が上げられない。


「あとで数学準備室」


短くも重い一言は、間違いなく志谷先生のお手伝いコースを指していた。