ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)




「ここで相加相乗平均を使うと、最小値が求められる。以上」


志谷先生の授業は無駄がなくて分かりやすい。


しかも意外と丁寧だ。


適当なのは性格だけらしい。


篠宮くんは勉強会でやったところが少し溶けるようになってきたのか、今日はちゃんと寝ずに授業を聞いている。


「じゃあ問3から問11まで、当てるから解きに来て」


志谷先生は出席簿を見ながら名前を読み上げていく。


当てられると嫌だな。


どれだけ自信があったとしても、あの緊張感は慣れないものだ。


「問7、三神」


呼ばれた名前にどきりとする。


三神くんは寝ているんじゃないか、と思ったけれど、今日は解きに行くみたいだ。


怠そうではあるけれど。


「問11、篠宮」


「いっ!」


最後に当てられた篠宮くんが奇声をあげる。


当てられた人たちが黒板に移動し、ざわざわし始めた頃、篠宮くんはこそこそと私の元へやってきてノートを差し出した。


「これ合ってる!?」


真っ黒い字が踊る、男の子らしいノート。


解読するのに時間はかかったけれど、


「合ってるよ。昨日やったところできるようになってますね!」


「っしゃ、いいんちょーありがと!」


嬉しそうに黒板に向かう篠宮くん。


教えた甲斐があって何よりだ。


でも──