ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「何、あんたたち喧嘩でもしてるの?」


そう和香ちゃんに聞かれたのは体育終わり、更衣室で制服に着替えている時だった。


「な、なんで?」


「いつもやれ移動だ提出だなんだって、やたら三神に声掛けてるのに、今日は全然話しかけないから」


「喧嘩っていうか……」


私はもごもご口篭る。


「謝っちゃえばいいじゃん」


「そうなんだけど、言えなくて」


朝、空元気で話しかけたのがよくなかった。


1回なかったことにしてしまったせいで、昨日のことを持ち出しにくくなってしまった。


空回りしてばかりいる自分に、我ながら辟易する。


「じゃ、三神なんかほっとけば?」


和香ちゃんは制服のスカーフを結びながらそう言った。


「え……」


「三神って中学からあんなだよ。ていうか今でも落ち着いた方。それでも今までやってこられたんだから、未琴が気にかけてやらなくても大丈夫だよ」


そういえば、和香ちゃんの従姉妹が三神くんと同じ中学だと聞いたことがある。


中学から荒れていたということは、三神くんはずっと前から1人のままなんだ。


その三神くんを放っておく……?


それじゃあ、三神くんはもっと孤独で、それってすごく寂しくて──


「同情で声掛けてるだけなら、未琴が辛いばっかりでしょ」


和香ちゃんは続ける。