ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

家に帰ると、小さな妹の乃々花が迎えてくれた。


台所にいるお母さんにお願いします、とお弁当箱を渡してソファーに座り、足の間に座った乃々花を抱きしめる。


「ねぇねつかれてる?」


私の顔を覗き込むように見上げる乃々花の瞳は、心配そうに細まっていた。


「おともだちとケンカした?」


「ううん、してないよ」


私は首を横に振る。


喧嘩というより、距離を感じてしまった。


明日は2人のテストがあるのに、放り出して逃げるように帰ってきてしまった。


次、どんな顔して会えばいいんだろう。


いっそ喧嘩なら、もっと楽だった。


「ののちゃん、どうしたらいいと思う?」


乃々花は大きな瞳をぱちぱちと瞬かせた。


「……分かんないか」


小さな頭を撫で、細い髪を指で梳く。


三神くん。


君は今、何を考えていますか。


怒ってるかな。


幻滅した?


私は貴方の心が知りたくて、知りたくて、こんなにも怖い。


はぁ、と乃々花の肩口に顔を埋めると、耳元で乃々花が「なかなおりできるといいね」と言ったのが聞こえた。