『約束をしよう、未琴』
『約束?』
『もう誰かを生きるのは辞める。誰の代わりにもならない。……未琴は未琴だ』
差し出された小指は、約束のしるし。
どくん、と心臓が音を立てた。
その指を絡めることに迷いが生まれて動揺する。
でも、動揺する自分に納得している自分もいる。
これは慧くんがいたから、見えた景色だ。
私ひとりではきっと見られなかった。
慧くんの引っ張る手がなければ、何処にも行けない赤子のように、私はここに立ち尽くすしかない。
変われないまま、慧くんだけが進んでいく。
その後ろ姿を私は何もできずに見つめている。
『未琴?』
名前を呼ばれ、弾かれたように慧くんの瞳を見つめる。
それに引き寄せられるみたいに、私は思わず手を持ち上げた。
小指の爪の先が触れる。
いけない。
これはきっと裏切りだ。
そう思うのに、まるでそうすることが正しいかのように手を下ろすことが出来ない。
そうして、夕闇の中。
指が、絡んだ。
『約束』
そう言って酷く安心したように微笑んだ慧くんの顔を、私は今でもずっと覚えている。
『約束?』
『もう誰かを生きるのは辞める。誰の代わりにもならない。……未琴は未琴だ』
差し出された小指は、約束のしるし。
どくん、と心臓が音を立てた。
その指を絡めることに迷いが生まれて動揺する。
でも、動揺する自分に納得している自分もいる。
これは慧くんがいたから、見えた景色だ。
私ひとりではきっと見られなかった。
慧くんの引っ張る手がなければ、何処にも行けない赤子のように、私はここに立ち尽くすしかない。
変われないまま、慧くんだけが進んでいく。
その後ろ姿を私は何もできずに見つめている。
『未琴?』
名前を呼ばれ、弾かれたように慧くんの瞳を見つめる。
それに引き寄せられるみたいに、私は思わず手を持ち上げた。
小指の爪の先が触れる。
いけない。
これはきっと裏切りだ。
そう思うのに、まるでそうすることが正しいかのように手を下ろすことが出来ない。
そうして、夕闇の中。
指が、絡んだ。
『約束』
そう言って酷く安心したように微笑んだ慧くんの顔を、私は今でもずっと覚えている。



