ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「い、いま」


「なに、食われて怒ってんの?」


「ちがう、いま」


「今?」


「いま、三神くん、間接キス……っ」


「……あー」


うっかり、とでも言うように、三神くんは目を逸らす。


私は口を金魚みたいにパクパクさせて余裕なく三神くんに抗議をするけれど、全然伝わらない。


それどころか、三神くんはすたすたと私の前を歩いていってしまう。


慌てて追いかけて、横に並んで、三神くんが視線も合わさず「気持ち悪い?」と聞いた。


「そんなわけ……!ない、です。嫌なんかじゃ、ない」


呟くように、けれどもちゃんと伝わるように、唇に乗せる。


三神くんは何も答えない。


言葉にしすぎた?


それとも、足りない?


頭の中だけがうるさくて、全部溢れ出てしまいそうだ。


三神くんとの間に落ちた静寂は何も答えない。


それでもさっきの沈黙よりずっと優しさを帯びている気がした。