ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「お待たせいたしました、あんずと白桃のお客様」


明るい声に呼ばれ、ハッとする。


赤いバンダナを被った若い店員さんは、私を見つけるとふわっと笑った。


「ありがとうございます」


私は三神くんの代わりに2つともを受け取って、三神くんを待つ。


しばらくすると電話を終えた三神くんが私の横に立ち、右手に持っていた白桃のかき氷を取り上げた。


ふたり、並んで歩き出す。


「美味そ」


「電話、大丈夫でしたか?」


「大丈夫。いいんちょーは気にしなくていいから」


その割に顔色が悪いことは、言わないでいた。


三神くんは電話のことには触れられたくなさそうで、それっきり黙ってしまう。


どんな言葉もかけることができずに、私もそっと口を噤む。


じりじり焼ける陽射しだけが、2人の影を繋いでいた。