ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)




そのかき氷屋さんは、海の前の道路沿いにある昔ながらの小さなお店だった。


アスファルトから立ち上る熱気をかき消すように、店先に吊るされた風鈴が鳴り、かき氷の文字が目立つのぼり旗がバタバタと音を立てる。


海の家からは少し離れているものの、知る人ぞ知るかき氷屋らしい。


密かな人気があるらしく、店の前には5、6人が列を作っていた。


私と三神くんはその最後列に並んで順番を待つ。


「すごい種類いっぱい……」


レモン、いちご、みぞれ、メロンにブルーハワイ。


定番のシロップに加えて、マンゴーやあんず、梅、白桃、パイナップルまである。


それを売りにしているらしく、店にはカラフルなPOPがあちこちに貼られていた。


「いいんちょーどれ食う?」


「えぇ、どうしよう……白桃も食べてみたいけどあんずも美味しそう……」


どうせならここでしか食べられないものを、と思うけれど、これだけ種類があると悩んでしまう。


そのうちに順番が回ってきてしまって困っていると、横にいた三神くんがスっと私の前に進んだ。


「あんずと白桃、ひとつずつ。会計一緒で」


「ちょ、三神くん」


「食いたくねぇの?」


「そういうわけじゃないけど……」


三神くんは店員さんにお金を手渡しながら、「じゃあ別にいい」と押し切ってしまう。


「……ありがとう」


お礼を言うと、三神くんは私の方をちらりと見て、なんでもないように「どういたしまして」と言う。