ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)




海は思っていたよりずっと楽しかった。


水着なんかなくとも、波打ち際で波と戯れたり、涼んだり、満喫する方法はいくらでもあって、時間があっという間に過ぎてしまう。


何より、和香ちゃんがアルバムを作ろうと言ってくれたおかげで、一瞬一瞬がかけがえのないもののように思えた。


その全てを写真に収める度、三神くんの瞳に私が映るのが胸に甘く響いて、私は何度もシャッターを切る。


流した視線、きらきらと光る髪、すっと通った鼻筋に、少し白い肌。


バレないように撮った他の写真に紛れて、三神くんがいる。


いつも付けているピアスは、錆びてしまうから今日は家に置いてきたらしい。


「撮れた?」


私の後ろから私のスマホを覗き込んで、和香ちゃんが聞く。


「はい。……なんか、自分のカメラロールにみんながいるって不思議です。今まで夏休みはほとんど家にいたし、外に出たとしても先生とか、誰かの手伝いだったり、家族とお出かけだったりだったので」


「それはそれで悪いことでは無いと思うけどね」


「……昔、そのことで友達に『他人の人生を生きているみたいだ』と言われたことがあります」


小さく苦笑して呟けば、脳裏にあの夏の暑い教室が蘇る。