ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)




「あ、帆貴来た。いいんちょーも」


砂浜に足を踏み出すと、波打ち際ではしゃいでいた篠宮くんが、私たちに向かって大きく手を振った。


篠宮くんはもう既に泳いでいたらしく、こんがりと焼けた肌がよく似合う水着姿だ。


その周りには3人、篠宮くんの友達がいる。


同じ学年の人ではないようなので、バイトや中学生の頃の友達なのかもしれない。


ぺこりと頭を下げると、前から友達だったかのように陽気に手を振られた。


みんなイインチョーイインチョーと言葉を覚えたばかりのオウムみたいにからかうので、苦笑いで会釈する。


距離の詰め方は三神くん以外、みんな似ているみたいだ。


「遅せぇよ何してたん」


波が押し寄せたり引いたりするだけでぎゃあぎゃあと楽しそうに騒ぐ三人衆からひょっこり抜け出して、篠宮くんが近付いてくる。


「いいんちょーが駄々こねてた」


「いやいや」


体が傾いで突っ込むけれど、三神くんは素知らぬ顔。


そういう人なのだから仕方がないといえば仕方がないけれど。