ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「嫌なら、もう見ないから」


気を遣ったのか、はたまた私の言葉を拒絶と捉えたのか、突き放すような言葉だった。


また足を進めようとする三神くんに対して、私の足は動かない。


そういう意味じゃ、なかったのに。


交わらない視線に冷たい寂しさが喉に張り付いて、私は呼び止めるより先に、両手で三神くんのシャツの裾を引いた。


「ちが、あの、違うんです」


小さく息を吸って、一息に声を紡ぐ。


「……見ないなんて、寂しいこと言わないで……。三神くんに会うから、いつもと違うこと、したんです」


自分でも何を口走ってしまったのか、よく分からなかった。


裏を返せば見て欲しいという意味にも取れるし、これではまるで三神くんのためにオシャレをしたのだと伝えているみたいだ。


嘘ではないし、むしろ正解ではあるのだけれど、恥ずかしくなって自然に視線と頭が下を向く。


三神くんのTシャツを引いていた手は、パッと離した。


誤魔化すような笑みを顔に貼り付けた時、三神くんが頭を搔いた気配がした。