ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

つられて動きを止めて、


「どうしたの?」


私はひとつ瞬きをして三神くんを見上げる。


少し伸びた前髪が掠める瞳は、私の顎の当たりをじっと見つめ、目を細める時のように眉間に皺が寄っていた。


もしかしてニキビができてた?と、不安になって、私はさっと顎を隠す。


最悪だ。メイクの時は気が付かなかったのに。


「あの、あんまり見ないで貰えると……」


恐る恐る三神くんを伺うと、三神くんはその顔のまま、怪訝そうに首を傾げた。


「……唇、赤い?」


「くちびる……」


斜め上の回答に、私は同じ言葉をオウム返しに呟く。


くちびる、唇、と単語を口内で転がして、やっと咀嚼できたところで私は声を上げた。


「あ、リップ?今日ちょっとメイクしたから……」


「へぇ」


三神くんは短く応えると、私から不自然に目を逸らした。


そのままふい、と歩き出してしまう。


戸惑いながらも慌てて追いかける私に、三神くんは半分だけ振り返って、それから小さく口を開いた。