ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

「まだ来てないと思ってました。着いたら連絡してって言ってたから」


私は風で乱れた前髪を指先で流しながら、若干弾んだ息を整える。


「なんとなく早く来た方がいいかって思った。いいんちょー迷いそうだし」


「迷わないよ、さすがに」


「さすがに」


揶揄うように反芻した三神くんは、だるっと着崩した白Tシャツと黒のハーフパンツが新鮮だ。


普段は今どき珍しい学ランとセーラー服が指定されているので、こういう時でなければ私服を見る機会もない。


三神くんはシンプルな出で立ちだったけれど、本人の素材がいいからか、スタイルが3割増くらいに見えた。


「いつもの三神くんじゃないみたい」


「いつもの三神ですけど」


「いや、そうなんだけど、そうじゃなくて……。も、行きましょう。篠宮くん、たぶん三神くんが恋しくて泣いてますよ」


これ以上追求されても、かっこいいなんて口が裂けても言えそうにない。


私は話題をさっと切り上げて、三神くんを促した。


泣いてねぇだろ、と言いながら、三神くんが腰をあげ──ふと、その動きが止まった。