ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

画面に表示されたのは和香ちゃんの名前だ。


私はスマホを手に取り、耳にあてがう。


「はい、未琴です」


『あ、もしもし?和香だけど。三神から電話きた?』


「うん。さっき電話貰って、今準備したところ」


『え、もう終わったの?早いな』


和香ちゃんは片手間に電話を掛けているのか、がさがさとものを動かす音がしていた。


しっかり者の和香ちゃんにしては慌てているようで、時折あーでもないこーでもない、と独り言が挟まる。


「何かありましたか?」


『あー、あのさ、水着のことなんだけど。未琴持って……あれ、そもそも未琴って泳げたっけ』


「いえ、私泳ぎはからっきしです。金槌にも及びません」


『水着は?』


「スクール水着しか持ってません。だから普通に足だけ浸かろうかなって」


そう言うと、和香ちゃんが立てていた雑音がぴたりと止まる。


そのまま無言が続いたものだから、私は小首を傾げて和香ちゃんの名前を呼んだ。


「だいじょ……」


『よかったぁー』


「え?」