ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

言われてみれば、三神くんの声の奥がやたらと騒がしい。


はしゃぐような声と、ざらついた波音と、それを乗せた風の音と。


時々後ろに向かって「うるせぇ」と呟く三神くんの声が挟まる。


「友達と来てるんですか?」


『篠宮と篠宮の友達?なんか知らんやつら』


「知らんやつらって……」


ふふ、と笑い声を漏らしながら電話の向こうを想像する。


三神くんは友達とじゃれ合うタイプじゃない。


どちらかというと一人のイメージが強いし、大人数で遊ぶ性格でもない。


意外だったけれど、声を聞く限りなんだかんだ楽しくやっているみたいだ。


「青春ですね」


『……』


「三神くん?」


耳を澄まし、その息遣いを探る。


微かな逡巡が、電話越しに聞こえた気がした。