ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

私は腹筋を辞めて立ち上がると、うっすらとかいた額の汗を左手で拭いながら、右手にスマホを取る。


画面に表示されているのは、見覚えのない番号だった。


「誰だろう」


私は首を傾げる。


私が普段から連絡を取るのは、家族と和香ちゃんくらいしかいない。


家族は家にいるから、和香ちゃんかな、とも思ったけど、和香ちゃんならわざわざ電話に掛けずに メッセージアプリを使うはずだ。


誰かの掛け間違いだろうか。


「ねぇねでんわとらないの?」


乃々花が後ろから近づいてきて、なかなか電話を取らない私の手元を背後から覗き込む。


乃々花が背伸びをしたその瞬間、乃々花の頭が肘に当たり、指先が通話ボタンに触れた。


「っあ、ちょ……」


スマホはそのまま私の手から滑り落ち、ゴン、と床の上で鈍い音を立てる。


不幸なことに、床に叩きつけられたのは画面側だ。


私は慌てて拾い上げ、画面を確認する。


「ねぇねごめんなさい……」


「大丈夫大丈夫。よかった……割れてない」


私ははぁ、と息を吐いて胸を撫で下ろす。


それにかぶせるように、いつの間にかスピーカー設定になっていたスマホから、聞き慣れた声がした。