ふりむいて、好きって言って。(仮/旧:三神くんは恋をする)

──もっと青春しとけばよかった


思い返せば、夏休みなんて勉強をするためのもので、大した思い出なんかない。


友達と“死ぬほど遊んだ”のも、たった1回の夏だけだ。


淡々と課題をこなして、予習をして、時折先生に頼まれた仕事をして。


別に構わないと思っていたけれど、本当にそれでいいんだろうか。


後悔しないって、言い切れる?


「俺、程々に課題やろっかなぁ。こないだはいいんちょーのおかげでテスト受かったけど、仮進級には変わりないし」


篠宮くんが、ぽつりと言う。


いつもより少し真剣なその表情は、多分嘘をつかない。


課題プリントは、紙飛行機に変化(へんげ)することなく、篠宮くんの手に握られていた。


「未琴は夏休みどうするの?」


「うーん……。課題やって、古典の先生に頼まれてた仕事やって、ゆっくり勉強しようかなって思ってたんですけど……」


先生の話を聞いていたら、よく分からなくなってしまった。


それは和香ちゃんも同じようで、ラケットのストラップを弄りながら口を開く。


「やりたいことっていっぱいあるけど、後悔しないようにって難しいよね」


「ね」