届かぬ指先─映《ば》えない恋の叶え方


「でも…」

「今日に限って水筒持ってたの忘れてて買ったやつだから、もらってくれると俺荷物軽くなって楽だから」

「…ありがとう」


火照った頬にそっと当てると、冷たさが心地よい。


「冷たい…」


冷たい緑茶は好き。だって…


「冷たい緑茶、旨いよな。さっぱりするし、なんか香りとかも『帰ってきたー!』って感じするし」

「!!

私もそう思ってた!夏に田舎のおばあちゃんちに行ったときみたいな、懐かしい感じするって」

「あーそれ!それな!分かる!!」


私たちは思わず指を指しあってはしゃぐ。

自分の思ってることが通じ合うってなんて清々しいんだろう。今までだって気の合う友達はたくさんいたけど、こんなに考えてることが一緒なのって、初めてだ。
それも、初対面の男の子となんて。



「なぁ、俺らなんか好み合うな」



あ、それ、私もそう思った。

「ねっ」

私たちはもう一度顔を見合わせて笑った。