届かぬ指先─映《ば》えない恋の叶え方

雪菜のリプにリプを返してホーム画面を開くと、ペリドット色に陽を透かす緑茶のペットボトルが眼に入った。

なぜか胸がとくんと波打つ。
きらめく午後の陽射しと柔らかな微笑みがふと脳裏をよぎる。


(何年生だろう)

新入生じゃなさそうだから2年生か3年生。

(一緒だったら…いいな)


人見知りの私でも彼とならすぐ友達になれそうな気がする。

友達と一緒にふわふわ苺のパンケーキ…


(って!そんなわけないって!!)


急激に恥ずかしさが込み上げて、スマホを放り出して手元の枕を取り上げるとばふっと顔に押し当てる。

そう。可愛いパンケーキはやっぱり彼氏とか女の子同士かで食べに行くものだ!


(彼氏…)


って、いやいや!何考えてるのっ、私!

ぎゅう、と枕を押し付ける手に力がこもる。


(く、苦し…)

「ぷはぁ!」

今度は勢いよく枕を押し退ける。


「はぁ…」

ホント何やってるんだろ、私…

もう寝よう。明日は学校に新しい制服と教科書を取りに行かなきゃいけない。


私は改めて布団に入り直すと、すっきりしない頭のままうとうとと浅い眠りについた。

        *   *   *