届かぬ指先─映《ば》えない恋の叶え方

私はベッドヘッドからスマホを取り上げる。
ステータスバーに♡のマーク。


(誰かいいねくれてる)


開くと今日投稿した写真にたくさんのいいねが贈られていた。


(またユカがいっぱいいいねくれてる。あっ、多香子ちゃんからも!多香子ちゃん久しぶりだなぁ、元気かなぁ)

スマホを眺めながら思わず笑みがこぼれてしまう。

(雪菜からはリプが2つも来てる。なになに…)


開くと、ひとつは霊園公園の桜に『めっちゃキレイ💕💕』というリプライ。
もうひとつは昨日アップしたカフェの看板の写真に『行ったらまた報告よろ(。ゝω・)ゞ』とリプされていた。

学校近くのハワイアンカフェのお店の前に置かれた看板の写真。
チョークで手書きの黒板とそこに貼られた写真─ふわふわのクリームとルビーみたいなつやつやのあまおう苺のパンケーキ─がお洒落で可愛くて、それになんと言っても美味しそうでとても気になるお店。
でもそのお洒落さゆえにひとりではちょっぴり入りにくくて、こっそり看板だけ撮ってきた。


(雪菜に報告できるように早くカフェに一緒に行けるような友達作らなきゃね)