「遥」

「………」

「はーるか」



名前を呼べば呼ぶほど、顔を赤くして俺から目を逸らしていく彼女がら愛おしくて仕方ない。




「………好き、です」



やっと口にしたその言葉は、小さくて祭りの雑音にかき消されそうだったけれど、俺の耳にはきちんと届いた。




「ふはっ、なんで敬語?……でも、ありがと。俺も好きだよ、遥のこと。ちゃんと大事にする」

「……ん」

「ほーら。もう泣き止めって」



まだ少しグスグスしてる遥だけど、俺が「可愛い」って言ったらまた怒るんだろうな。……顔、赤くして。




こんなに泣いてくれるほど好きでいてくれたコイツを、俺は一生手放せないんだろう。