空のパレード



ちょうど、上空では
パレード隊を乗せた渡り船が
通っていた。



アスファルトの地面は
色とりどりの紙吹雪に埋め尽くされ、
街の人々は歓喜の歓声を上げている。



私はしばらくの間、
夢中で音楽に聞き入っていた。



ドラム、フルート、オーボエ、トランペット。
様々な音がひしめき合い、
壮大なシンフォニーが奏でられる。



どこか、懐かしさと寂しさと悲しみを
感じるような旋律。



この旋律も、私の心と共鳴して、
鳴らされているのだろうか。



突然、リリイに手をとられ、
私は我に返る。



「ね、一緒に来ない?私たちとさ」



「え?私も行けるの?」



「そりゃそうじゃん。
だって、今こうして起きてる事象は
全てあなたが描いた夢なんだもの」



「私が……………描いた夢……………」



そうだ、これはいつも
私が思い描いていた夢。



この夢を壊すのも作るのも、
私次第なんだ。



「ふっ、少しは笑えるようになったか。
じゃあ、答えは決まりだな。」



エリオットはそう言うと、
背中から生えた黒い翼を羽ばたかせ、
リリイと私の腕を掴んだ。



私の体は、ふわりと宙に浮く。



地上を見下ろすと、
ビルに埋め尽くされた街はどんどん
遠ざかっていった。



「ねえ、見てよ。あの無数のビルだってさ、
こんな高いところから見たら
みんな石ころみたいに見えるんだよ」



リリイは小さい子どものように、
目を輝かせながら言った。



「私たちは、今は宝石だよ。
あなたの描く世界の中でなら、
私たちはルビーだって、サファイアだって、
エメラルドにだってなれるんだ!」



リリイのその声はまるで
雲の上まで届きそうなくらいに
高らかだった。