「そんなに、辛いか」
エリオットの凛々しく真っ直ぐな
目が私に向けられる。
吸い込まれるような綺麗な青い瞳。
この瞳さえ、私が思い描いたものなのか。
「お前がそう望んでしまうほどに
現実は辛い世界なのか」
リリイは神妙な顔で黙ったまま、
私を見ている。
「…………多分、辛いんだと思う。
昔から内気なほうだし、
人の輪に入るのは苦手だし、
人付き合いに関しては
普通の人より苦労してきたと思ってる。
もちろん今だってそう。
外の世界に居場所を感じられなくて、
いつもこうして、空想の世界に
逃げ込んでしまう。
そうでもしないと、
自分が自分でいられなくなっちゃいそうな、
自分自身がどこかへ行ってしまいそうな、
そんな感じがして……………」
どう、言葉にして伝えればいいか、
分からない。
だけど、ずっと感じていた。
もやもやとした、漠然とした何か。
自分一人だけが他の皆と
違う場所に取り残されているような、
孤独感や疎外感に似た何か。
「外の世界…………存在しない居場所。
逃げ場所がなきゃ
やっていられないでしょうね」
リリイはどこか遠くを眺めながら、
独り言のように呟く。

