空の上から、
一人の少女がふわりと
降りてくるのが見えた。
ピンクのリボンが結び付けられた
トロンボーンを抱え、
少女は私のもとへ舞い降りる。
真っ白い髪のショートボブ。
緑色の瞳。
「こんにちわ」
彼女とは初対面のはずなのに、
どこか、懐かしい感じする。
何か、昔から知っているような、
不思議な感覚。
「あなたは私のことを知ってるね。
そして、私もあなたのことを知ってる」
「何故なら、私はあなたの
イマジナリーフレンドだから」
イマジナリーフレンド。
空想の友人。
そうだ、彼女は小さい頃から、
私の空想の中にいた。
おっちょこちょいでハチャメチャで、
陽気でいい加減な性格で、
どこか不安定で危なっかしくて、
いつもハチャメチャなことばかりやって、
無茶苦茶な冗談を言っていたけど
ずっと、私の心に
寄り添ってくれていた。
「今の私は、リリイ。
最初はあなたの名前だった。
あなたが年を重ねるごとに
名前も一緒に姿や形も変わったけど、
今はリリイ」
そう、あなたの名前はリリイ。
私があげた、最後の名前。

