僕からのメールを見て、どうやら彼は僕が彼の創造主であることを理解したようだ。
お互いの住む場所が割と近いことを知った僕と彼は、これから直接会って話し合おうということになった。
 
  
待ち合わせ場所の公園に現れた彼は、サイトでの印象とかなり違って見えた。
日記では始終明るい口調なのに、実際の彼の話し方は陰湿そうな性格が滲み出ているようなものだった。

 
「――今、なんて言ったんですか?」
 
僕は思わず聞き返してしまっていた。
彼は僕を嘲るように笑ってさえいるようだった。
 
「だからぁ。アイデアはあんただとしても、俺の文章で人気が出てるってのがわかんない?あんたは今まで通りにアイデアだけ、俺に垂れ流してればいいんだよ」
 
小柄な男が、僕を見上げるようにして嘲笑っているのが僕の目に映る。
この男は何を言っているんだろう?僕がいなければ、小説の一行も書けやしないというのに。
 
「悔しかったら、俺より先に小説を発表すればいいだろ?――もっとも、無名のあんたの作品を読みに来てくれる読者がい・れ・ば、の話だが?」