「それは構いませんけど……」
「ありがとう!!」
そう言って協力を快諾してくれた雫ちゃんに感謝のハグをする。
「まずは婚約パーティーよね!!」
夫婦になる前の初めての共同作業となる婚約パーティーで、藤堂家の嫁に相応しいところをアピールしなければ。
気合は十分、準備も万端。あとは出番を今か今かと待つばかり。
「月子ちゃん、準備はできた?」
会場の準備が整った頃合いを見計らって、伊織さんが支度部屋の扉をノックすると同時にお伺いを立ててくる。
「はーい。今、行きます!!」
私は扉越しに返事を返すと、雫ちゃんに念押しした。
「くれぐれも、伊織さんには内緒よ」
雫ちゃんは神妙になり、小さく頷いたのだった。
「なんだ、雫もいたのか。先にホールに行ってくれるか?」
雫ちゃんと一緒に支度部屋から出てくると、伊織さんはそう彼女に指示した。
「あとでね」
私はしばしの別れを惜しむかのように、雫ちゃんに軽く手を振った。
「ふたりで何を楽しそうに話していたの?」
「……女同士の秘密です」
この日のためにあつらえたパーティードレスに着替えた私は、伊織さんの手を取りながらそう答えた。
背中がV字に開いたアイスブルーのロングドレスに身を包み、タキシード姿の伊織さんにエスコートされると、まるでおとぎ話の挿絵になった気分だった。



