「月子ちゃんは何も悪くない!!」

俺は慌てて月子ちゃんのもとに駆け寄ると、彼女の無実を訴えた。

あの男が月子ちゃんに並々ならぬ思いを寄せていることは知っていたのに、婚約しているからと油断して密室でふたりきりにしてしまったのは完全に俺の落ち度である。

「婚約指輪は別の店で作り直せばいい」

たとえあの男が反省して心を入れ替えたとしても、二度と月子ちゃんに近寄らせたくない。

婚約指輪なら他の店で作ればいい話だ。

「本当にごめんなさい……」

「もう、謝らなくていいよ」

男に襲われそうになったことよりも、俺の手を煩わせることを気にする月子ちゃんのいじらしさをひたすら愛おしく感じた。