「それでは、デザインの草案が出来ましたら、またご連絡します」

小一時間ほど指輪のイメージを膨らませアイデアをいくつか出したところで、この日の打ち合わせはお開きとなった。

「指輪はいつ頃出来そうですか?」

一刻も早く指輪を身に着けてもらわなければ、嫉妬の炎で焼き尽くされそうだ。

この男がデザインした指輪というのが、癪だがな。

「オーダーメイドですから、3か月ほどかかります」

「3か月?」

「はい。職人が腕によりをかけてお作りさせていただきますから」

それまでに婚約破棄されてなければいいなと、無言で喧嘩を売られているような気がしたのは気のせいか?

3か月なんて悠長に時間を掛けてはいられない。

今すぐ男性除けを身に着けてもらい、近寄ってくる男に月子ちゃんが俺のものだと知らしめなければ不安で不安でしょうがない。

俺は月子ちゃんを南城家まで送り届ける車の中で、ひとり悶々としていた。