約束の時間きっかりに南城家に到着し、執事に取次ぎを頼み車の前で待つこと数分。

「伊織さんっ!!」

月子ちゃんは慌てた様子で玄関ポーチから車まで走ってやってきた。

「お待たせしてごめんなさい!!」

走ってきたせいで乱れた髪を手櫛で直し、ハンドバッグの紐を肩に掛けなおすとニッコリと微笑んだ月子ちゃんは今日も可愛かった。

ノースリーブの膝丈のタイトなワンピースにジャケットを羽織った彼女は陽の光を浴びてますます輝いて見えた。

褒め言葉のひとつでも言えれば良かったのだが、慣れないことをするとボロが出そうだったので踏みとどまる。

「行こうか」

俺は月子ちゃんの肩をそっと抱き、助手席の扉を開け座るように促した。

月子ちゃんがシートベルトを装着したのを確認すると、車を発進させ、南城家を出発する。

この日は快晴で絶好のドライブ日和だった。

車はまもなく住宅地を抜け、高速道路をひた走る。