……我ながらタイミングが悪すぎだな。

ここまでくると何かしらの大いなる力が働いている気がしないでもない。

それでも諦めきれず冬季緒に懇願して、縁談を持ちかけることが出来たのは僥倖だった。

“……はい、喜んで”

月子ちゃんにそう言って微笑みかけてくれた時、俺は天にも昇る思いがした。

ずっと焦がれて止まなかった彼女が俺の妻になる。

この幸せを更に確かなものにするべく、俺は月子ちゃんに電話した。

「もしもし、月子ちゃん?」

婚約指輪を買いに行くというのは、デートに誘う良い口実になった。