「私、何でもするわ……!!気に入らないところがあったら何でも言ってください。服でも髪でも直すわ!!」

それは、胸がえぐられるような悲痛な叫びだった。

とにかく、冷静に話が出来るように、気も狂わんばかりに取り乱している彼女を宥めなくてはいけない。

「月子ちゃん……」

「そうよ……。私は……ずっと……。伊織さんが好きだったのよ。私には伊織さんだけ……。だから初体験だって、とっておいたのに……」

俺はぎょっとしながら、膝から崩れ落ちそうになる彼女を支えるようにして腰を抱いた。

初体験が……なんだって?

「えっと……。月子ちゃん?」

まずは何をおいても確認しておきたい。

「本当に俺のことが好きなの?」

うんと小さく頷く月子ちゃんを見て、嬉しさで口元がにやけそうになってしまい思わず手で覆い隠す。

「伊織さん……?」

考えなければならないことは沢山あるはずなのに誘惑に抗えない。

俺は辛抱たまらなくなって、まだ誰の物でもない月子ちゃんの唇にキスをした。