「はい、皆さん。パートナーの方と答え合わせしてください!!」

司会者の合図で裏返しにしていたフリップを表に返して答え合わせをする。

伊織さんと私のフリップには同じ“28センチ”と書かれていた。

「よく知っていたね」

「たまたまですよ」

私は伊織さんの褒め言葉をとぼけたふりでかわした。

伊織さんのことなら、どんな小さなことでもリサーチ済みです。

必要ならその革靴、どこで買ったのかも当ててみましょうか?

その後も余興は続き、私は2問目、3問目も順調に正解を重ねていった。

5問目を無事正解すると、伊織さんもこれはただ事ではないと驚きを隠せないご様子だった。

「驚いたな」

「お兄ちゃんから伊織さんの話はよく聞いていましたから」

伊織さんはへーっと納得したように頷いていたが、この結果は決してお兄ちゃんのおかげではなく、日頃の情報収集の賜物である。

パートナーのことを理解しているという点において私の右に出る者がいるとは思えない。

正解者は回を追うごとにみるみる減っていった。

そして、最終的に私達だけとなったのだった。